既にいくつかのブログでも取り上げられていますが、maneoが仕掛けてきましたね。

業界最大手だけにこの新制度が業界全体に与える影響は大きいでしょう。

賛否両論あると思いますが、現在のmaneoの立ち位置から考えれば、当然とるべき戦略の一つだと私は思います。

ソーシャルレンディング事業者は、常に借り手と貸し手の資金量をマッチングさせることが必要なので、優良な投資投資案件を発掘すると同時に、それに見合う資金量を安定的に確保することが必須となってきます。

そのためには、ロイヤルティーの高い大口顧客を囲い込む必要性があり、今回のステータス制度は費用対効果を考えた合理的な戦略だと私は判断しています。

要は、俗に言う太い客をがっちり掴みたいというところでしょう。

既に業界で圧倒的な位置を占めているmaneoにとって、原資を広告やキャッシュバックキャンペーンなどに費やすより、顧客選別による資金調達の安定化につぎ込んだ方が、よっぽど効果があると思います。

住信SBIネット銀行や楽天など他業界でも大口顧客の優遇化には取り組んでおり、それらの流れをを踏まえた作戦なのでしょう。

もちろん、副作用として、小口投資家からの反発もあり、投資家全体の口座数は減るかもしれません。

しかし、収支を顧客セグメント別に考えれば、投資残高が100万未満の投資家が減少しても収支にはマイナスにはならないでしょう。

例えば、1億円を集めるのに、①100万円を100人から集めるのと、②10万円を1000人から集めるのとでは、どちらがコストがかかるでしょうか?

Fintechの進化により、投資家の数に正比例して、コストがかかってくるわけではなくなりましたが、①の方が圧倒的にコストがかからないですよね。

ですから、会員ステータスによって、利回りに差を付けるのは事業者から見て合理的だと思います。

(ちなみに、今maneoのホームページを見ると、レギュラーとブロンズで1.5%の差を付けている案件があります。予想以上に差別化している気がしますが)

しかも今回のケースのように資金ストックにインセンティブを与えることで、資金調達の安定性が高まる方向に働くと予測します。


よくある投資額に対して付与するキキャッシュバックキャンペーンはいわばフローに対してのインセンティブになりますが、これだと短期的には資金が集まっても、長期的に資金を囲い込む効果は薄いですよね。

maneoは既に十分な登録ユーザーを獲得したので、今後はユーザーの選別に入ってきたというところでしょうか?

投資家が事業者を選別するように、事業者側も利潤を追求する民間企業ですから当然の動きでしょう。

事業者の収益力という観点からみれば、登録ユーザー数(内、アクティブユーザーは2割程度)というのはさして意味のない指標で、平均借入残高(≒平均貸付残高)を着実に増加させていくことが重要な指標になるのでしょう。

ついでに言えば、成立ローン総額もあまり意味のない指標で、これをよく見せたければ短期案件を増やせばいいわけですよね。

本来であれば、月末ローン残高を注視したいところですが、事業者によってはマイナスになっているところがあるかもしれないので、なかなか公表しずらいかもしれません。(成立ローン総額も登録ユーザー数も累積数を示すため常に右肩上がりなので、事業者にとっては好都合な情報になり、その反面、投資家にとっては誤解しやすい情報になる。注意しなければなりません)

でも、裏を返せば、資金量の伸びに自信のある事業者は、毎月月末ローン残高を公表すれば、信用力が高まると思いますが。

事業者の収支構造を鑑みれば、事業者の売上高=平均貸付残高×事業者報酬でほぼ算定できますし、固定費のウエイトが圧倒的に高い業種なので、損益分岐点を超える平均残高を確保すれば利益は確実に出るので、maneoは今回の戦略が功を奏すれば、安定的な収益基盤を確立することができ、確実に勝ち組に近づいているといえるのでは。(ただし、「会員ステータス制度」という名称自体がやや上から目線で投資家の反感を買い、イメージダウンにつながる恐れもある気もしますが・・・)

既に同様の制度は、クラウドバンクが導入している(注)ので、次はSBI ソーシャルレンディングがどういう手を打つか見どころですね。
さらに、大口顧客の囲い込み制度が普及すれば、事業者間の資金調達力の差が鮮明になり、今後資金力不足で生き残れない事業者が出てくることも予想されます。

(注)総資金100万円以上のお客様限定ファンド募集開始について https://crowdbank.jp/news/20170713_001.html

特に新発企業の資金調達のための営業手段としては、キャッシュバックキャンペーン・Googleアドセンス・アフィリエイトなどがよく見受けられますが、あまり費用対効果はよくないのではと推測します。(そう言えば、みんクレも熱心でしたね)

その点、既に業界内で圧倒的な位置を占めているmaneoを初めとした老舗の大手事業者は、大口資金の囲い込みに今までに稼いだ原資を投入できる点で、有利な展開が続きそうです。

今後事業者間の淘汰が予想されれば、我々投資家はそれを先取りした資金の集中と選択が必要になるでしょう。

いずれにしろ、maneoの「会員ステータス制度」がソーシャルレンディング業界に与える影響については、目が離せませんね。

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